まずは簡単に強誘電体記録の原理を説明します。
強誘電体は反転可能な自発分極を持っており,記録メディアとして応用することが可能です。
下の図は,自発分極の方向が上向きの状態を"1"に,下向きの状態を"0"に対応させて情報ビットを保持している様子を模式的にあらわしています。
強誘電体のドメイン壁(自発分極の方向が異なる2つの領域の境界)の厚さは数単位格子程度と非常に薄いということが知られています。このことは,データを高密度に記録するのに非常に都合がよいのです。
当然のことですが,データを記録できても再生ができなければ何の意味もありません。ところが,自発分極の方向を測定することは,そう易しい事ではないのです。("SNDMとは"参照)
そこで,私たちの研究室では,強誘電体に記録されたデータを読み出す方法として,SNDMの手法を応用する事を提案しています.強誘電体の極性を非常に高い分解能で,しかも純電気的に検出できるといったSNDMの特徴は,これを再生ヘッドとして用いた際もそのまま生かされると考えられます。