誘電体記録が広く実用化されるためには、媒体上に反転ナノドメインを形成することにより記録されたデータが長期間保持されなくてはなりません。そこで長期のナノドメインの安定性(リテンション)について調べました。
 膜厚80nmのCLT基板上に反転ナノドメインアレイを形成し、一定時間高温に放置することによりリテンション特性を加速させ、高温放置前後のドット形状を比較して観察しました。図1が熱加速試験前後のドットアレイです。いずれの場合もドット直径が小さくなっています。この結果からドットサイズの縮小速度の温度依存性を求めたのが図2のグラフです。この結果から一般のメモリデバイスに仕様されている最高保存温度80℃でのドット半径変化速度を見積もると6.74×10-5nm/hourであり、ドット直径100nmの反転ドットアレイを最初に書き込んでから、半径が10nm小さくなるまでの時間は16.9年です。これは一般的なメモリデバイスの寿命10年に劣らないリテンション特性だということが分かります.

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